身体介護の心得
利用者の安全確保を第一に
ホームヘルパーが行う身体介護において最も大切なことは、利用者の安全を優先することです。
身体介護を必要とする人は、心身に何らかの障害を持っていることが多いので、一つ一つの動作に対して、恐怖心を持ってしまいがちになります。
この恐怖心を和らげ、「歩きたい」「身体を起こしたい」という要望をかなえてあげるのが、ホームヘルパーの重要な仕事なのです。
まずは安全を考える。
これは、ホームヘルパーの基本として、しっかりと認識する必要があります。
相手の人格や意思を尊重すること
ホームヘルパーは、直接人間を相手にする仕事です。したがって、要介護者の人格を尊重し、 相手のプライバシーにも十分配慮する必要があります。常に声をかけたり、相手の緊張をほぐしながら、相手の顔色、しぐさをよく観察し、 相手のペースをよく考えて身体介護を行うようにしましょう。
介護の前に、相手をよく観察する
利用者の人格を尊重するということは、相手のことをよく理解するということでもあります。
ホームヘルパーは、高齢者を相手にするので、高齢者特有の心理状態を良く知ることも大切です。
例えば認知症の方は、どんな表情やしぐさの特に不安感を覚えているのか、などもよく観察して、介護の前によく理解しておく必要があります。
当然、人にはそれぞれ個性があります。
認知症という症状でひとくくりにするのではなく、個人個人の性格や特有の言動をよく観察し、その人にあった対応の仕方を考え、行動するのが、
プロとしてのホームヘルパーの仕事なのです。
「声かけ」を基本とする
どんな介護をするにしても、基本は「声かけ」です。
要介護者は、不安感や恐怖感を感じるものです。無言で介護をされると、不安感を増大してしまいます。
また、ホームヘルパーへの信頼も生まれないでしょう。
介護を行う前、つまり相手の身体に触れる前は、「○○さん、□□をしますよ」というふうに、これから行う介護の内容を告げると、
相手に安心感を与えることができます。
相手の目をみながら、穏やかに、はっきりと声かけを行いましょう。
見守ることも必要
ホームヘルパーが行う介護の仕事は、あくまで利用者の自立的な生活を手助けすることにあります。
そのため、何から何まで手を貸さずに、時には見守ることも大切なことなのです。
すべてに介護・介助を行うと、利用者の自立意欲を奪ってしまいます。
廊下を手すりを持って歩ける人なら、手を貸さずに、歩くのを見守ってあげる。
その代わり、転倒の危険がないように、そばに寄り添って歩いてあげる。
こうした「見守り」を行い、利用者の自立意欲を高めてあげることがホームヘルパーの心得として重要です。